「法令遵守」が日本を滅ぼす

東大理学部卒。元検事。桐蔭横浜大学教授の郷原信郎氏の近刊(1月17日刊)である。タイトルはやや固いが、内容は極めて常識的。社会的な現実と法律の乖離の問題点を具体例を挙げて解説する。具体例として挙げられたのが耐震偽装事件や地方自治体での談合問題である。

そして、こうした問題の再発防止のためには、法の強化とコンプライアンスでは決して社会的な目的の達成にはつながらないことが示されます。そしてマスコミが問題の解決と整理ではなく、そのセンセーショナリズムによって返って問題の悪化と隠蔽に貢献していることが明らかにしている。

ライブドア事件村上ファンド事件についても触れているようだが、判決が近いこともあるのかあまり深く触れていないのは物足りない。というより、元検察官として、「ライブドア事件村上ファンド事件は検察のやりすぎ」と考えるまともな検事もいることを示すアリバイ出版かもしれない。

アマゾンの書評も上々のようだ。